調停・審判・判決
夫婦間での話し合いだけで離婚(離婚自体・養育費・慰謝料など)を決めることができないか、相手と会話すらできない場合は裁判所(家庭裁判所)に調停・審判・判決の申し立てをしなければ離婚ができません。
調停は基本的には調停員立会の下、夫婦間で離婚の話し合いをして問題を解決するところです。
判決は公開の口頭弁論手続きで夫婦間での争いを証拠を下に裁判所がどちらの言い分が正しいか判断するところです。
審判は証拠を下に裁判所が判断しますが判決と異なり非公開であり厳格な口頭弁論手続きを採用しません。
離婚自体の争いは調停前置主義
★ 離婚はまず調停からスタート
夫が浮気したのが我慢できず離婚したいが、夫が認めないので訴訟をしたい場合でも、いきなり裁判所へ判決を申し立てることはできず、まずは調停を申し立てなければなりません。これは調停前置主義によるものです。離婚の争いは法律とは関係のない事実が争点になりやすく、また見ず知らずの第三者も傍聴している公開の法廷での裁判は夫婦間のプライベートなことはなじまないからです。一般調停事件として手続きが進行します。
★ 調停が不成立に終わった場合
調停不成立に不満がある方が原告となり家庭裁判所に判決を下してもらうことを申立てなければなりません。人事訴訟手続きに従います。
一般調停事件の場合、調停が不成立に終わっても自動的に人事訴訟が始まらないので、不満がある方が申し立てをしなければなりません。後述する二類審判事件で調停が不成立に終わった場合に自動的に審判手続きが開始されるのと異なります。
離婚に付随する子の監護(養育費)・財産分与・年金分割等
★ 離婚自体とは別手続き
子の監護(養育費・面会交流・子の引き渡し・看護者指定)・財産分与・年金分割は離婚するしないの争いとは基本的には別手続きで争はなければなりません。
すなわち、これらの事項は二類審判事件に分類されており家庭裁判所に審判の申立てもしくは調停の申立てをしなければなりません。まずは調停の申立てをしなければならない離婚自体の申立てとは異なります。
離婚届を市役所(区役所)に提出して協議離婚が成立した後でも養育費等の調停(審判)の申立てができます。
★二類審判手続き
離婚後、養育費等だけの調停または審判の申立てがある場合、家庭裁判所はまず調停を促すようです。基本的には夫婦間の話し合いで決着をつけてほしいからだと思います。
調停で合意に至らず不成立になれば、自動的に審判に移行します。双方の言い分や証拠を下に審判を下します。
★ 離婚自体の争いと養育費の争いを一緒にする方法
離婚自体の調停に際し、養育費などの事項の合意をすることができます。
また、当事者の便宜を考慮して離婚自体の訴訟の際に付帯処分の申立てがあれば離婚自体の訴訟と一緒に養育費等の裁判(判決)をしてくれます。
不貞行為などの慰謝料請求
夫に対しては一般調停事件扱いになりますので家庭裁判所にまず調停を申立てなければなりません。これも調停前置主義です。
浮気相手の女性に対しては通常の民事訴訟扱いになりますので地方裁判所または簡易裁判所に判決の申立てをすることになります。
調停に不満がある場合の不服申し立て方法
調停が成立し確定してしまった場合不服を申し立てることはできなくなります。審判や判決は後で(但し期間限定)不服を申し立てることができますが調停は合意したとたんに確定してしまいますので要注意です。
調停中に不満があれば、調停委員、裁判所職員、相手の話を素直に聞いたり、真に受けず、調停が成立する前に不合意の意思表明をして不成立にしてもらうか、冷静に考える時間をもらうために態度を保留しできるだけ引き延ばしたりしなければ後で後悔することになるでしょう。
また調停を申立てた方は調停の取下げもでき、調停の申し立て自体がなかったことにもできます。但し調停が進行してしまえば取下げは認められません。
審判・判決に不満がある場合の不服申し立て方法
高等裁判所や、最高裁判所に不服申し立てをすることができます。