慰謝料
夫に浮気をされていた場合や、酒癖が悪く暴力を振るわれていた場合などは精神的苦痛をを被っていたとして慰謝料を請求することも可能になります。
また浮気や暴力がなくても離婚そのものにより配偶者の地位の喪失という精神的苦痛を被る場合にも慰謝料請求権が発生します。
慰謝料の時効
慰謝料は3年で時効になりますので、また訴訟になると証拠が必要になります。従って気づいたら早めに手をうっておいたほうがよろしいです。
ただし、相手が時効を援用して慰謝料の消滅を主張しない限り、20年間(除斥期間)は慰謝料を請求できます。従って3年が過ぎてもダメもとで請求してみるのも手段の一つです。
不貞行為(浮気)による慰謝料ー認められなかった先例
☆ 浮気といっても程度によっては認められません。夫と女性が食事をしたりお酒を飲みに出かけたりするだけでは認められません。不貞行為、つまり男女の交わり行為がなければ精神的苦痛が生じたとして慰謝料請求は認められません。手をつないで歩いたりキスをしただけでは慰謝料は発生しないとされています。
慰謝料が発生するにはある程度のレベルの違法性が必要ですが、浮気の場合は不貞行為が必要とされているようです。
もっとも夫が女性と手をつないだりキスをしている場合は離婚原因となる可能性があります。
☆ 婚姻関係破綻後、離婚届け前に夫が浮気をしている場合は慰謝料請求が認められないとされた判例があります。
浮気以外の理由で夫婦仲が悪くなり、別居状態となり、事実上夫婦でなくなった場合は他の人と恋愛をすることは自由とされたものと思われます。
浮気による慰謝料ー証拠収集
☆ 夫が浮気を認めた場合は離婚協議書(公正証書)に慰謝料の定めを記載し離婚届けをすることで済みます。
☆証拠収集の大変さ
夫が浮気を認めない場合は調停を申し立てることになります。夫が調停でも浮気を認めず、調停が不調に終わった場合は裁判になりますが、その際は本格的に証拠が必要になります。
浮気したことが明らかであっても裁判官に証拠を提出して証明しないと慰謝料を請求している原告は敗訴となり、慰謝料を請求することはできなくなります(証拠がなければ敗訴)。
不貞行為の慰謝料請求ができるためには被害者である妻が不貞行為の証明をしなければなりません。不貞行為の証明ですから夫と女性との交わり自体を証明できなければなりません。ビデオや写真撮影ができればよいのですが、稀でしょう。
尾行してラブホテルに二人で出入りしたことを確認し、目撃書を作成したり、浮気相手が夫の会社の同僚であれば会社での情報を収集したりすることになるでしょう。これらは間接証拠と呼ばれ、不貞行為の直接証拠にはなりませんが、間接証拠をできるだけ集めて不貞行為があったと裁判官に確信を得させれば慰謝料請求が可能となります。
☆ 調停・訴訟離婚は本人自身で申立てることはできますが、自分自身で遂行する自信がなければ弁護士に代理を依頼したり探偵に証拠収集を依頼したりしなければならなくなります。慰謝料の相場は後述するような額ですし、慰謝料が認められない場合にも、弁護士費用(着手金)や探偵費用をし払わなければならなくなります。
夫が浮気を認めているが、慰謝料の額でもめているような場合は慰謝料の見込額や勝算を考え、協議離婚にするか調停(訴訟)離婚にするかを検討するのがよろしいと思います。
不貞行為(浮気)による慰謝料ー相場
不貞行為(浮気)による慰謝料の平均的相場 |
訴訟判決の場合 |
100〜300万円 |
夫婦での合意 |
合意があれば訴訟判決の相場よりもい額を定めること可 |
不貞行為(浮気)による慰謝料の算定基準 |
婚姻期間の長さ |
浮気の違法性の程度 |
当事者の資産 |
その他の諸事情 |
不貞行為(浮気)による慰謝料額の計算公式は法律には明記されていません。しかし、これまでの先例(訴訟判決)の積み重ねにより判断基準や相場ができつつあります。
婚姻期間の長さ、浮気の違法性の程度、当事者の資産などを総合的に考慮して金額は決められていると思います。そして、平均的な相場は100万円から300万円くらいです。
1500万円の慰謝料が判例で認められたケースもありますが、それは婚姻後8年目に夫が浮気相手と生活し、子供も生まれ、以来44年間その状態が続き、高齢の妻は年金生活者で、夫はいくつも会社を経営する資産家であったという事案です。
夫の年収がサラリーマンの平均程度で、婚姻期間が10〜20年位ですと、よっぽど浮気の程度等がひどくない限り100〜300万円の間になると思います。
ただしこの相場は訴訟裁判によるものであり、夫婦で合意するならば、裁判の先例にこだわることなく相場よりもい額を決めることが可能です。その際は離婚協議書(公正証書)を作成して協議離婚するだけで済みます。
浮気による慰謝料ー浮気の相手への請求
☆浮気の相手への慰謝料請求が認められない場合
夫が浮気をした場合、その浮気をした相手の女性へも慰謝料を請求できます。
ただし、その女性が浮気をしていることを知らなかった場合や浮気について過失がなかった場合は慰謝料請求は認められません。
また婚姻関係破綻後の浮気は不貞行為とは認められないので慰謝料請求はできません。
また浮気は夫と女性の共同責任と扱われているので、夫が全額賠償すれば、女性へは請求できなくなります。
☆浮気相手への請求方法
浮気したかいなかは事実がどうか不確かな場合が多いため細心の注意が必要と思います。
例えば慰謝料請求した相手が全く勘違いで別人であったり、浮気した相手であることは間違いがないが、証拠が不十分であって慰謝料請求訴訟で敗訴してしまったような場合です。
このような場合は逆に精神的苦痛を受けたとして逆に損害賠償請求を受けるかもしれません。また請求の方法のやり方によっては刑事上、恐喝罪で告訴を受けたりしかねません。
そこでまずは確実な浮気の根拠つまり証拠集めをするべきだと思います。証拠集めをしていることを知られると、証拠集めをされにくいように対策をねられる可能性もあるので、夫や相手の女性にはバレない方にするのが良いと思います。
そして確実に証拠が集まったらまず夫に浮気を認めさせ、浮気をしたこと慰謝料をいくら払うかを書面にて認めさせます。書面に残さないと後で知らぬふりをするかもしれないからです。この書面は離婚協議書(公正証書)で構いません。
このように証拠を集め、夫にも書面で認めさせるのであれば確実な根拠に基づくものであり相手の女性に慰謝料請求を正当にできます。
その際の請求方法は直接女性に会って請求して支払ってもらったり、手紙(内容証明郵便等)によるものなど都合の良い方法で良いと思います。
但し、女性が認めず支払わ内容であれば裁判所に損害賠償請求訴訟を申し立てて裁判で争うことになります。
浮気相手の女性に慰謝料請求する方法 |
第1番目 |
浮気の証拠収集 |
対策されないように夫・女性にバレないようにする。違法行為にならないように注意 |
第2番目 |
夫に浮気を認めさせる |
夫が素直に認めた場合⇒書面化、離婚協議書(公正証書可) |
夫が素直に認めない場合⇒調停・訴訟 |
第3番目 |
相手の女性に慰謝料請求 |
女性に直接会うか、電話・手紙(内容証明郵便等) |
女性が拒んだ場合,裁判所に損害賠償請求訴訟の申立 |
浮気以外の慰謝料
夫から暴力を振るわれていた場合も慰謝料を請求できます。結婚したのにも関わらず性交渉に応じてくれない場合も慰謝料請求ができるとした裁判例もあります。夫から特に理由もなく離婚を迫られた場合も慰謝料を請求できる場合があります。